2016年3月23日

マリー・アントワネット 絵で辿る生涯 68

毅然とした態度で出廷したマリー・アントワネット。
公判は10月14日朝8時に始まりました。
この前代未聞の裁判を見逃したくないと、駆けつけた人の矢のように突き刺す憎悪の視線を全身に受けながら、マリー・アントワネットは毅然とした態度で革命裁判の法廷に出頭します。
弁護士ショヴォー・ラガルド
何ヶ月も前から同じ服を着て、ほころびているとはいえ、彼女には持って生まれた品格があり、それが、いかなる環境に置かれても揺るぐこともなく、法廷に集まった人々を圧倒します。

かつての王妃を初めて身近で目にした彼らは、さすがハプスブルクの血を引いた人だ、さすがに王妃だった人だと思ったに違いありません。

弁護士として指名されたのは、ショヴォー・ラガルドでした。
パリで法律を学んだ彼は、その実力で名を轟かせていた有能な弁護士でした。
「自由よ、汝の名の元にいかに多くの罪が犯されたことか」と劇的な言葉を残して断頭台にのぼったマダム・ロランや、マラーを殺し「暗殺の天使」と呼ばれたシャルロット・コルデーの弁護を務めたのもラガルドです。

有能な弁護士がついてくれたとはいえ、自分の運命は動かしがたいことを、すでに予審の際に悟っていたマリー・アントワネットは、落ち着いていました。40人もの証人の偏見に満ちた証言の間も冷静を保ち、裁判官の尋問にもテキパキと答えるマリー・アントワネットは、王妃の品格を失うことなく、威厳さえ見せていました。
革命裁判で、矢継ぎ早の尋問に知的に応えていた王妃。