2016年9月27日

開館30周年を迎えたオルセー美術館

セーヌ河畔のオルセー美術館
印象派の巨匠たちの名画を多数展示し、圧倒的な人気を誇っているオルセー美術館がオープンして、今年で早くも30年。
 1900年にパリで万博が開催されたときに建築された駅が、さまざまな変貌を遂げた後に美術館になり、その思い切った発案は世界を驚かせました。
その後、部分的な改造がありましたが、展示されている作品は、美術書などで見かけるのがほとんなのは変わりません。
パリで最も親しまれている美術館です。

第二帝政を築いた皇帝ナポレオン3世。
30周年記念を祝うための特別企画は「第二帝政」。1852年から1870年まで続いたナポレオン3世の時世です。

不思議なことに、この時代はあまり語られていないのですが、今日見られる整然としたパリ市が生まれた重要な時代だったのです。古い建造物が取り壊され、幅広い道路が生まれ、街路樹が植えられ、ロータリーもたくさん造られ、いざという際にスムースに行動を起こしやすいようにしました。上下水道が完備し、疫病から市民を守る対策も取りました。

ナポレオン3世の妃ウジェニー。
オーストラリアやカリフォルニアで金鉱が発掘され、世界中がその余波で潤い、フランスの経済が豊かになったのも第二帝政時代。
パリで最初のデパート、ボンマルシェが誕生し、買い物熱が急上昇。オペラ座の建築が開始され、 レストランは着飾った人々の社交の場となっていました。
フローベールやゾラ、ユゴーが次々に名作を発表し、文学が一層の飛躍を遂げ、絵画ではモネを筆頭とする印象派の画家が名作を描き、その多くがオルセー美術館に展示されています。

華やかな宮廷生活が営まれていたチュイルリー宮殿。
このように第二帝政は豊かさがあふれていた時代だったのです。
文芸が驚異的な飛躍を遂げたこの時代に焦点をおいた、開館30周年記念の展覧会には、宮廷生活を描いた絵も多く、華麗な時代が伝わってきます。当時の卓越した家具、美術工芸品が特に素晴らしく、よき時代だったことを十分に堪能できます。

リドにカジュアルな服で行って後悔したので、
今日はディオールのジャケット。何しろ第二帝政がテーマなのだから。
特別展覧会のエントランスが豪華で、期待が膨らみます。

閉館日の月曜にヴェルニサージュがあり、豊かで華やかな時代のオーラをゆったりした中で、満足いくまで浴びてきました。これで、いい文章が書けるようになるかも、と期待は大きい。
開催中にぜひまた足を運びたい。それほど素晴らしい内容なのです。

オルセー美術館
「第二帝政」
2017年1月15日まで。