2016年9月12日

ジャコメッティの貴重な作品

個人秘蔵のジャコメッティの貴重な作品と、
ジャコメッティの作業風景や
コレクターとの友好を語る写真が展示されています。
スイス出身の20世紀を代表する彫刻家ジャコメッティといえば、針金のように細い人物像で有名です。彼のこうした作品を観るたびに、人間の孤独、悲しさ、弱さ、時には、はかなさが感じられてなりません。

ジャコメッティの代表的テーマ、ブロンズの人物像。
すべての不要なものを取り除いた、というより、はぎりとったような人物像は、手足が極端に長く、動きがまったくなく静止した状態で、これが人間の本来の姿かと怖くなることもあります。
ジャコメッティの親しい友人だった哲学者サルトルは、「人間の実在を表している」と評価していたそうです。
手前から、猫、ダチョウ、亀の像。
長年フランスで創作活動を行っていたジャコメッティと交流があり、コレクションを続けていた個人秘蔵の作品が、オークションハウスで競売されるそうで、それ以前の内覧会で貴重な作品をじっくり観賞してきました。

針金のような人物像を目の前に感慨にふけった後、ふと隣に目を移すとブロンズの猫の像がある。エジプトの猫を髣髴させるような姿だけれど、二本足で立っているのが興味深い。
人物像と同じに、これ以上細くなれない姿のダチョウの像もある。
ネズミがガリガリ引っかいているような
ユーモラスないす。一番気に入った作品です。

亀やネズミもいて、どちらも肉付きがあってなぜかホットしました。
これほどたくさんの動物を手がけていたのを知って、とても勉強になりました。

このオークションハウスは、もともと19世紀の邸宅。
その時代の装飾を残した部屋もあり、
18世紀、19世紀の家具や食器、絵、ジュエリーなどを展示。
壁や天井のリリーフが典雅です。